

「共通テストは2021年から始まったのに『本当の共通テストは2025年から』ってどう言うこと?と思われるかもしれません。確かに共通テストは2021年から始まりましたが2024年まではそれまでのセンター試験と共通テストの移行期間のようなものでした。なぜそうなったのかと言いますと、実は2025年1月受験者が高校1年次に学習指導要領改訂による新課程の受験生だったのです。彼らは新課程つまり真の共通テスト1回生となるため変更のない箇所があるものの丸っきり新課程の過去問というものはこの世の中にないまま受験を迎えたことになります。BUNRI&キタン文理生はその中でも大変多くの生徒が健闘して各校舎に帰って来ました。その前に真の共通テストまでの大学入試の変遷について振り返っていきましょう。推薦入試の内容もガラっと変わっていますが、一般入試だけでも例えば10年前のセンター試験受験者とでさえも中身が随分変わって来ていることに注目してください。また単語数1つとっても例えば英語はセンター試験最終年と比べたら倍増しています。それなのに制限時間は80分と変わらず・・・。
大学入試の簡単な変遷
●1979〜1989 共通一次試験
主に知識重視の問題がほとんどで暗記や基礎的な学力を測定する問題が中心。用語や公式を覚えていれば解ける問題が多い。一問一答レベルがかなり多い。数学では公式を覚えるだけで解ける問題が多数。
↓ 難化(特に2005年あたりから少しずつ難化、2010年代からさらなる難化)
●1990〜2020 センター試験
知識だけでなく、思考力や応用力が問われる問題が増加。選択肢の中に引っかけ問題が増えるなど、難易度が徐々に高まった。
例:理系科目では複雑な計算が必要な問題が出題。
↓ 難化を超えて一部の教科は激しく難化
●2021年〜2024年旧課程共通テスト←ここがいわゆるセンターから共通テスト移行期間
!NEW!
●2025年〜新課程共通テスト←【ここが真の共通テスト!今年は2年目ということもあり難化】
文章読解力や論理的思考力を重視する問題が増えた。特に英語や国語、地歴公民では複数の文章を横断して答える必要がある問題や、英語ではリスニングの比重が増加。また長文の読解や複雑な文章の要旨をつかむ力が問われるだけではなく選択肢において似通って迷う選択肢が続出。小手先のテクニックでは全く歯が立たず、共通一次試験やセンター試験では「基礎学力試験」という立ち位置だったのに対して共通テストでは「高大接続改革」により、学力だけではなく思考力・判断力・表現力を含んだ「総合的な学力」を測定する方向に変化したという点において共通テストは全く「基礎学力試験」ではないことに注目して欲しい。2026年は本格的共通テスト2年
目のため、かねてより当塾予備校でも予想していた通り情報Ⅰや国語新設第3問の一部など、昨年変化のあった教科の難易度が急激にアップした。また物理や数学ⅠA、情報Ⅰがかなり難化してしまったため英語、国語などの文系科目の高得点者が共通テスト利用でも差を付けた。
共通一次→センター試験→共通テストと時代を経るにつれ問題が難化!
併せて2025年の共通テストからは必須となる受験科目の変更や教科の増加が行われ完全なる「脱ゆとり」✕「総合的な学力」が盛り込まれた。
1年前の2025年からの共通テストにおける受験科目増加や変更の一例
●「日本史」または「世界史」→「歴史総合、日本史探究」または「歴史総合、世界史探究」
歴史総合では日本史および世界史や政治経済など他教科との横断的な知識が必要に。日本史選択の人は世界史等の知識も必要になってくるようになった。(2024年までは世界史または日本史のどちらかの受験でした。)
●新たに「情報I」教科追加され、国公立の97%が必須科目としている。
つまり主要5教科という言葉は死語になったと言えようか。現在は「主要6教科!」が常識
●他にも公民に「公共」が新設。旧現代社会、政治経済、倫理など教科横断型の知識や考え方が必要になった。
●数学IIB→数学IIBCに変わると同時に(数学Cが復活。ただし旧数学Cとは履修分野が異なる。内容が増えたのは言うまでもない。昔の数学Cは理系のみでしたよね。今は文系でCまで習うんだ!( 一一))制限時間が60分→70分に※数学I Aはすでに70分
●国語が大問4つ構成→大問3に「実用的な文章」が追加され5題構成に。大問が1つ増えたにも関わらず制限時間は80分から10分のみ延長して90分に
●英語が大問8構成になると同時に大問の2つがより日常的な学習現場を再現するような新設問題を出題へ(実は2023年秋に大学入試センターが『試作問題』として公表していた)
ちなみにセンター試験ラスト年と最近の共通テストの単語数は倍ほど多くなっている!制限時間は160分になると思いきや80分のままという驚愕の事実。etc…
ここまででもお分かりになることですが今の受験生は「本当に大変」です。受験勉強にフライングはないですので、早く始めたほうがはじめた分だけ良いに決まっています。
それではもう少し具体的な話へと進めましょう。2025年から共通テスト国語において第3問に実用的文章が出題されるようになりました。これはなにかを成し遂げたり、計画をするために探求をさせるという高校での授業現場を入試で再現するような出題の仕方をするようになりました。
第1問では、ダンスコンテストで着用する衣装をめぐり、4人がメールを通じて意見交換を行う場面が設定された。ショートメールで画像を添付しながら具体的な取り決めを進めたり、選択肢として提示された衣装のビジュアルを比較・選択させたりするなど、視覚情報を含む実用的な読解力が求められる問題であった。また、当塾予備校でも繰り返し予想していた通り、やりとりの翌日に「最初に取る行動」を選ばせる推測問題も出題され、文脈理解と先読みの力が問われた。
第4問では、昨年に引き続き、生徒が書いたエッセイを教師が添削する形式の問題が出題された。加えて、新たに脱文補充の設問が導入された点が特徴的である。これは2017年の試行調査でも出題されており、十分に対策可能な形式であったと言える。また、共通テスト国語においても空所補充問題が出題されていることを踏まえると、今後も継続的に出題される可能性は高いだろう。
第2問および第5問ではイギリス英語が使用されていた。共通テストでは、アメリカ英語に限定されず、毎年のようにイギリス英語が取り入れられている点にも留意しておきたい。第5問では、図書館で開催されるイベントのチラシを読んだ生徒が、おすすめの本をメールで紹介するやりとりが題材となった。近年の共通テストでは、単にメールを一方的に送るだけでなく、返信内容を踏まえて情報を整理・判断させる設問が増えている。今回も、返信を読むことで「おすすめの対象年齢が1冊だけ当てはまらない」ことに気づかせるなど、現実的で具体性の高いやりとりが多く見られた。
第6問では、おにぎり屋の主人と中学生時代の交流を、大人になった女性の視点から回想する小説文が出題された。難易度は例年並みである。ただし、物語が時系列順に並んでおらず、段落が◆◆◆◆◆◆(ダイヤマーク)によって区切られているため、前後関係を正確に把握しなければ読み取りは難しい。選択肢に登場人物の性格などが明示的に書かれていない点もあり、文中の情報から推測しながら解答する力が求められる内容であった。
さらに、第7問では「マインド・ワンダリング」という一見すると難解な学術的テーマを扱いながら、「より良いアイディアを生み出すためにはどうすればよいか」を生徒に考えさせ、スライドを用いて発表準備を行うという設定の問題が出題された。
第8問では、スポーツとテクノロジーの関係について、ジャーナリスト、フィジカルトレーナー、引退した水泳選手、テニスコーチなど、複数の立場から提示された意見を比較検討し、自身の立場を定め、その根拠を論理的に構築させる問題が2年連続で出題された。難易度も昨年とほぼ同程度であった
。
全体として、昨年と比べて設問数やマーク数に大きな変化はなく、総語数も6000語弱に収まった。正解の根拠となる本文表現と選択肢との言い換えも、極端に難解なものは少なかったため、昨年ほどの難度は感じられず、結果としてはやや易化した試験であったと言えよう。
しかしながら、これほどの分量の英文を80分で読み切り、正確に解答するためには、日頃から培ってきた語彙力、文構造の把握力、文法知識といった英語力の総合力が不可欠であることに変わりはない。
生物
大問4、生物の環境応答
大問5、生物と環境
いずれも去年からの新課程で大きく取り上げられるようになった新単元である。
問題の難易度としては比較的易しめであり、どちらも問1は教科書の知識問題、問2以降は実験や表などからの考察を必要とする問題である。
考察を必要とする形式であるため、多くの受験生は苦手意識から躓くことも多いと考えられるが、難易度自体は比較的やさしい問題である。
新高校3生、新高2生は新単元をしっかりと学習し、考察問題に早めに慣れておく必要がある。
生物基礎
大問2文章B
問4,5、6
去年からの新課程で、生物基礎範囲においても大きく取り上げられるようになった免疫についての問題が出題された。特に問6はオミクロン株と新型コロナワクチンについての問題で、問い方はややひねっているが、あくまで国の推奨するワクチンの有効性を前提に考えれば選択肢を絞りやすい形となっています。
全体的に易化しており、傾向としては計算問題が減り知識問題が増えている。例年第5問では「身のまわりの化学」として高校生にとって未知の物質や実験が取り扱われているが、今年はポリイミドという合成高分子について出題された。もちろん高校生にとっては知らない物質ではあるが、反応自体は知っているものであることから、落ち着いて解くことができればさほど難しい問題ではない。今後も第5問ではこのような傾向の問題が出題されるであろうことを考えると、教科書に載っている「知っているべきこと」を確実に覚えるとともに、「知らないもの」に対する耐性を上げることは重要である。
全体的に難化しており、公式頼りでは解けないような問題が多かった。特に第2問では、バネでつながれた2物体が振動しながら水平に移動するという、難関国公立などでも出題されるような運動が題材となった問題が出題された。誘導があることに加え、単振動まで話が広がってはいないため比較的解きやすくはなっているが、この題材に触れたことのない受験生は苦戦したかと思う。
難化したと言われるが、数学的に高度化したというより、条件や情報の読み取り・整理が重くなった印象が強い。
とくに第2問〔1〕の2次関数は、最大値・最小値の情報から関数を決定する定番の枠組みに、定義域による場合分けが加わった馴染みの薄い問題だった。しかし、その本質は2次関数のグラフの性質を踏まえて、与えられた条件からグラフをかく(または明確にイメージする)ことだ。それができていれば完答できたはずである。日頃から解くときに「グラフをかく/思い浮かべる」を習慣化することが重要だ。
全体として「練習してきた通り」という印象。共テ対策の問題集や過去問でしっかりトレーニングした人は取り組みやすかったはずである。
第2問は三角関数の「和積の公式」がテーマ。和積の公式は形が複雑なので、暗記で押し切るよりも、その場で導けるようにしておくとよい(もちろん覚えてしまうのもアリ)。実際(1)では公式が与えられ、導出を問う流れになっており、後半ではそれをどう使うかが焦点だった。「3つの関数のうち2つに公式を使う」という誘導があるため、判断に迷っても組み合わせを試す形で前に進めた。公式は正しく覚えることも大切だが、導出も確認したうえで、どのように利用できるかを意識しながら扱っていきたい。
2026年の共通テスト「情報Ⅰ」では、いくつかの設問において本教科の狙いが色濃く表れていた。中でも、「情報技術の仕組みを理解し、状況に応じて活用できるか」を強く問う問題が印象的であった。
まず特徴的だったのが、第2問Aの情報システム設計に関する問題である。住民証明の提出という身近な行政手続きを題材に、紙から電子データへの移行、改ざん防止、さらに個人情報の保護へと、課題が段階的に提示された。受験生は、それぞれの段階で導入される仕組みの役割を整理し、情報の流れや関係者の役割の変化を読み取る必要があった。ここでは、セキュリティ対策の名称を知っているかではなく、「どの課題に対して、どのような仕組みが有効か」を論理的に理解しているかが問われており、情報システムを設計する視点が重視されていた。
次に、第2問Bの画像処理を扱った設問も、近年の出題傾向の中で際立っている。ビット演算を用いた画像の重ね合わせや透過処理について、OR、AND、NOTといった論理演算の性質を具体例から考察させる内容であった。計算自体は複雑ではないものの、「ある演算を行った結果、なぜ元の画像が取り出せるのか」といった意味理解が不可欠であり、単なる暗記では対応できない。日常的に使われている画像編集技術の裏側を、情報の基本原理に立ち返って理解させる点で、思考力を重視した良問であったといえる。
さらに、第4問のデータ分析も本試験を象徴する設問であった。桜の開花データを用い、欠損値の扱い、グラフの選択、相関や回帰直線の読み取りを通して、データから何が言えるのかを考察させている。特に、図や数値が示す範囲と限界を意識しながら判断する力が求められ、安易な読み取りでは誤答につながる構成であった。これは、実社会でのデータ活用に直結する力を測ろうとする意図が明確に表れた設問である。
これらの問題に共通しているのは、用語や操作手順を知っているかどうかといった表面的な知識ではなく、情報がどのような構造や仕組みによって処理・活用されているのかを理解しているかを重視している点である。受験生には、与えられた条件や資料を丁寧に読み取り、情報同士の関係を整理しながら、自分の頭で筋道を立てて考える力が求められた。これは、情報技術を「覚える対象」としてではなく、「目的に応じて使いこなすもの」として捉えているかどうかを測る出題であったと言える。
2026年の共通テスト「情報Ⅰ」は、こうした思考力・判断力を中心に据えることで、教科としての成熟が一段階進んだことを強く印象づける試験であった。今後は、個々の知識を断片的に暗記する学習だけでは対応が難しくなり、日常生活や社会で実際に用いられている情報技術を題材に、その仕組みや意義を理解し、応用する力を養う学習がより重要になるだろう。「理解して使える情報力」が、共通テストを通して明確に問われ始めた年であったと言える。
文章量は昨年度並みで、1つの文章を読解していく形式である。共通テストの初期に見られた、複数の文章を比較して考察させる形式は、2023年を最後に出題されていない。また問題形式も2年連続ですべて傍線に関わるものであった。傍線内容そのものを問うもの(「〜とはどういうことか」)や、その理由を問うもの(「なぜか」)といった、シンプルな形式である。各選択肢はいずれも4択であった。
章の内容は、筆者の幼少期の経験をもとに「美」について論じたものである。例年にも増して抽象度の高い内容であったため、4択であっても正答を絞ることが難しかった受験生は多かっただろう。
しかし、筆者の主張の根幹は終始「美とは何か」という点にある。本文中のあらゆる記述は、その問いに連なる枝として配置されており、最終的にはすべてが「美とは何か」という一点に収斂していく構造になっている。すぐに理解できなくてもよいし、すぐに解答できなくてもよい。文章を読み進める中で、少しずつ筆者の主張の根幹に触れていけばよい。
最初の段階では選択肢を絞り切れなくても、全文を読んだあとには選択肢を整理できることもある(ただし、全文を読んでから解答すること自体を奨励しているわけではない)。
例えば、4〜5ページで述べられている幼少期の感覚について、次のような表現がある。
「世界が意味あるものとしての輪郭を失い、言葉で把握不可能なものとなり、『ただそのようなものとしてそこにある』ものとして感じられることがわたしには重要だった」
「世界はさらに、具体的な場所や時間を超えて、出会ったことのない『他者』の物語を無数に含みこんだものへと変貌していく」
正直なところ、「なんのこっちゃ」と思うだろう。意味が分からないと感じる受験生も多いはずである。始末が悪いことに、この直後に傍線が引かれており(問2)、その内容が問われている。前後を丁寧に読めば一応理解できるとはいえ、あまりに抽象的で、ここで解答できなかった受験生もいただろう。
そのような場合は、無理にその場で決着をつける必要はない。絞れるだけ絞って、いったん後回しにすればよい。6ページ、7ページ、8ページと読み進めていく中で、筆者の美に対する理解は次第に深まっていく。すると、改めて選択肢を見たときに、明らかに本文の主張にそぐわない言葉を含んだ選択肢があることに気付くはずである。
まとめると、文章自体は難解であるものの、最後まで諦めずに文章に寄り添い続けることができれば、十分に解答可能なレベルの問題であったと言える。大事なことは最後まで諦めない心だ。1年間の学習を通して、「わからない文章に出会っても読み続ける力」を強くしていってほしい。
文章量は昨年度並みであり、内容もそこまで難解ではない。小説のテーマも、母親の葛藤という基軸を取りこぼさなければ、読み進めるにつれて理解できる構成になっている。問題の中身は、問6を除けば、従来のセンター試験から共通テストにかけて幅広く出題されてきた形式のものであり、特に真新しさはない。具体的には、登場人物の心情やその理由を問う問題(問1・2・4)や、本文中の表現に関する問題(問2・5)などである。
ただし、昨年同様に語彙の問題は出題されなかった。そのため、時間配分に余裕を持てなかった受験生もいただろう。最後の問6では、センター試験末期以来しばしば出題されてきた、生徒の対話形式による問題が復活した(ちなみに2025年は出題されておらず全体として極めてシンプルな問題構成だった)。
選択肢はいずれも4択である。基本的には、傍線部の前後を踏まえれば比較的解答しやすい問題が多かったと言える。しかし一部の問題では、傍線部だけでなく、それまでに読んできた本文全体を踏まえなければ、選択肢を絞りきれないものもあった。
たとえば問6(2問)では、生徒の会話文に加えて、別途資料が提示されている。(1)傍線部前後の内容、(2)資料、さらに(3)本文全体という三点を踏まえる必要があった。そのため4択であっても選択に迷った生徒は多かったはずである。それまでの設問が比較的易しかったこともあり、最後の問題で面食らった生徒もいただろう。
学校や塾で、小説の読み方について十分に研究・理解したうえで、本番では最後まで油断しない心構えが求められる。
本文は、ある架空の生徒Mが、1つの「テーマ」について、複数の「資料」を用いながら自分の「考え」を述べた文章(約1ページ)である。この本文と、その後に示されている複数の資料をあわせて読む必要がある形式であり、2025年度と同様の出題形式である。
「テーマ」を自ら設定し、必要に応じて「資料」を参照しながら「考え」や「結論」を導き出すプロセスは、大学における学びに直結するものである。大学教育におけるレポートや卒業論文も、まさにこのような思考過程を念頭に置いて書かれている。受験生にとっては珍しく感じられるかもしれないが、大学入学後には、このような思考を踏まえて文章を書く機会が必ず訪れる。この実用的文章の問題は、そうした学びの在り方を反映したものだと考えられる。この点を前提にすれば、1つ1つの設問の意図も理解しやすくなり、問題に振り回されることも少なくなるだろう。
例えば問1・問2は、「資料Ⅰ・Ⅱ」を踏まえ、生徒が書いた文章の表現内容を加筆・修正する問題である。この形式は前年度にも出題されている。難しく考える必要はない。ここで、カレーライスを例に考えてみよう。
自分はカレーライスを美味しく作りたい(テーマ)。SNSで見たカレーライスのレシピを参考にする(「資料」)。それを踏まえて自分なりにカレーライスを作ってみた(考え)。しかし、あまり美味しくない。そこで改めてレシピを確認すると、塩が入っていることに気付いた。そこで塩を加えてもう一度作り直し、より美味しいカレーライスに仕上げた。
問1・問2は、この例で言えば、「塩」にあたる要素を資料の中から見つけ出し、それを踏まえた文章内容として最も適切な選択肢を選ぶ問題である。
問3以降では、新たに「資料Ⅲ」が示され、より洗練された「考え」や「結論」を導き出すことを意図した問題が出題されている。この出題パターンも前年同様である。ただし、ここで受験生を苦しめるのは「なぜ資料Ⅲを参照するのか」が具体的に示されていない点である。資料Ⅲを読み、その役割を自分で察する必要がある。
カレーライスの例で言えば、なぜカレールーの成分や特徴(「資料」)を知る必要があるのかを自分で考えなければならない、ということになる。
さらに注意が必要なのは、そもそもの「テーマ」をしっかり念頭に置いていなければ、正しい選択肢を導き出せないという点である。昨年度に続き「テーマ」は冒頭のリード文に明示されている。ここを軽く読み飛ばしてしまうと「とんでもないこと」になってしまう。冒頭のリード文は常々よく見るように言ってきているが、ここの大問ではより一層注意深く読んで「テーマ」を確認してもらいたい。
※ここでもカレーライスと同じだ。お味噌汁を作りたい(「テーマ」)と思いながら、カレーライスのレシピ(「資料」)を参照し、カレーライスを作る(「考え」)といった「とんでもないこと」をする人はいないだろう。
目安時間は10〜15分と非常に短い。慣れない問題形式に加え、やや多めの資料を読む必要があるため、どこに注目すればよいのか分からず、戸惑う生徒も多いだろう。その結果、重要な部分を見落としてしまう可能性もある。
そうした事態を避けるためにも、この実用的文章では、問題作成者がどのような意図でこの形式を採用しているのかを、まず理解することが重要である。
出典は『うつほ物語』で、教科書に収録されているケースは稀だが、様々な問題集や入試問題で散々扱われてきている物語文である。夏休みや冬休みに学校から配布される問題集にも載っていることは珍しくない。こうしたテキストを時間をかけてやるか、やらないかが入試の結果に思わぬ形で繋がってくると言えるだろう。
例年、共通テストにおいては、受験生が苦手とする「和歌」を含んだ文章が出題されることが珍しくないが出題されなかった(なお和歌が出題されないのは2年連続だが、『うつほ物語』自体は和歌を多く含む文章である)。文章自体は難解な表現も少なく総じて読みやすいものだったと言える。問題も若干紛らわしい選択肢を含む問題もあるが、基礎的な内容が多く含まれる。たとえば問一(イ)の場合、「はしたなげ」の意味が分かれば特に前後の文脈を気にせずに解答できる。この単語は学校で配布される多くの古文単語帳に掲載されている。しっかりと勉強をしていれば間違えるはずのない問題である。
ほかに文法問題も教科書通りの内容。読解問題についても段落ごとに問題が出題されており優しい設計となっている(ただし紛らわしい選択肢も多い)。
共通テストが始まった2021年からしばらくは、手の込んだ問題・教科書通りにはいかない問題もあったが、近年はその鳴りを潜めている。平均点ほど難しい内容とは言えないので、こつこつとスタンダードな学習を継続すれば確実によい結果をもたらすはずだ。
共通テスト漢文は易しい傾向にあったが、今年もその例に漏れず非常に易しいものであった。古文以上に教科書通りの学習が実を結ぶ傾向にあるので、日々の学校の教材を真面目に継続して勉強していくことがカギを握っている。例えば波線部a、c、dは学校で必ず扱う文法事項を含む箇所であり、その意味が理解できれば正答率はグッと上がるはずだ(逆にこれを答えられない生徒に対しては「国語の時間に一体何をやっているのだろう?さては眠っているのではないか?」)。
国語は短い時間でたくさんの文章を読解しなければならない。そんななかで問題の半数が教科書通りの内容なのが今年の漢文である。漢文で時間を短縮し、現代文や古文に時間を回すことができるようになってもらいたい。漢文は前述したように学校での日常的な学習だけでも克服が可能どころか、満点を十分狙えるものだ。一方で現代文の読解ともなるとそうも行かないのだ。
よもやここまで聞いて学校の授業や副教材をおろそかにしよう、こんなものは答えを写してテキトーに提出すればいいのだと考えている大バカ者もいるまい。全体的に煽った分析になってしまい真面目に分析する気があるのかと思われるかもしれないが、実際分析しているのが馬鹿らしくなるくらいに内容が易しいのだから仕方ない。ただ易しいとは言っても、まじめに授業に取り組み、わからないところやモヤモヤするところをしっかりと塾で質問し、その上で自分のなかに落とし込むことができる生徒にとってはという話だが(それでも結果が出ない科目や分野はいくらでもあるが漢文はそんなことは無いのだ)。
従来通り多様な資料(史料、図表、メモなど)が絡む問題の割合が多く、全34問のうち20問近くが出題された。昨年からの傾向として、古文書史料が一部を除いて現代語訳されているため、古文の知識はそこまで必要とされない。しかし史料の読解のみで解答できる問題は少なく、前提となる広汎な歴史的知識を踏まえて解答することが求められる。共通テストらしい「思考力・判断力」を総動員させるような問題が多かった。
たとえば以下の問題〔P.53第2問の問4〕は、解答に際して「1239年の伊予国弓削島荘の年貢物の報告」という一節から鎌倉時代であることを読み取り、さらに当時の権力関係(地頭はたびたび荘園領主への上納金を滞納していた)を知っていなければ、「空欄エ」に入る語句を「地頭」と選ぶことはできない。また、「公物」の「公」が何を指すのか、あるいは「預所」が何を意味するのかが分からなければ、読解自体が不可能である。
難関私大に比べれば細かい知識は求められないが、歴史をひとつの流れとして総合的に捉える力を前提としており、丸暗記に留まる学習では、とてもではないが対応できない(ただし、丸暗記自体を否定するつもりはない)。
ちなみに、従来より平成以降の歴史も頻繁に出題されており、今年は1995年の「阪神・淡路大震災」と2011年の「東日本大震災」を解答させる問題や、1995年の「自民党と社会党の連立政権」が「55年体制」より前に成立したか否かを問う問題があった(なお、昨年は小泉純一郎内閣が出題されている)。大人世代がリアルタイムで辿ってきた一つの流れも、受験生にとっては未知の世界である。政治でも経済でも、あるいは自身の大学時代の就職活動といった個人的体験でもよい。少し前の話をすることが、受験生にとって思わぬプラスになることもあるだろう。