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共通テストの出題傾向を文理の講師陣が分析しました

トピック:ニュース

共通テスト総評

 共通テスト運用開始3年目となった今年は、複数テクストや資料、図表の読み取りをさせたり、高校の授業を再現したような問題や実生活に寄り添った出題傾向が色濃く目立つようになった。

 例えば、英語では生徒会による通学時間における効率のよい活動を推進するプロジェクトのフィードバックを読んだり、国語では本文の内容をより深めるために他の文献を参考に研究させたり、実際の高校の授業現場を再現するようなグループディスカッションなどのいわゆる探求学習的要素がさらに盛り込まれるようになった。

 他にも数学ⅡBでは、積分法を活用しながらソメイヨシノの開花予想する問題が出された。

 また、どの教科においても知識の暗記や本文をただ理解するだけでは対応しきれない問題が多く出題され、中には一見、高校の範囲以上の知識が求められているように見える問題が各教科で出題されている。

 しかしながら、これらはすべてリード文や注、教師や他テクストを事細かく読むことで解ける事柄となっている。したがって全教科において、文章の読解力が求められている。

 なお前年までとは異なり、極端に平均点が低くなった教科はなく2017年・2018年の試行調査と歴代からの本試・追試の計8回を踏まえて、平均点が安定してきたように思える。ただし、6割を目安に作成されてきたセンター試験に対し、共通テストの最終目標はもう1割下げた5割前後になるよう調整される予定となっており、今後も徐々に「難化する」と予想される。

 将来、共通テストを受験する高校生にはぜひ、知識を詰め込んだり、小手先のテクニックだけではなく、日頃からニュースや最近の話題に気を配り、興味を持って自ら理解を深める癖をつけてもらいたい。

英語

英語リーディング

A 試験問題構成、配点

試験時間80分、配点100点、大問6、小問49、平均点55.07(前年度61.80、前々年度58.80)第1問から6問に至るまで全て情報を読み取る問題。使われている単語、熟語、構文、内容の難易度は問題が進むにつれて上がり、また正解となる情報が一箇所から複数の箇所へ広がる形で難易度が上っている。しかし第6問を除いて、この程度の問題で平均点が前年度より6点も下がるのは筆者の腑に落ちない。それほど今年の受験生の英語読解力は弱いのだろうか。

B 対策

まず学校で買う教科書を徹底的に読もう。教科書を使わず入試の長文問題を読ませる学校もあるだろうが、授業でするしないに拘わらず、教科書を徹底的に読もう。そして教科書に出てくる単語、熟語、構文なら全て理解できるし、内容も理解できるようになろう。意味のまとまり毎にスラッシュ(/)を引き、常に前から前から日本語にしてゆく癖をつけよう。それが正確に速く英語を読み解いてゆく方法だ。2週間経てば忘れてしまう「ターゲット」に力を注いではいけない。高校の英語教員たちは「ターゲット」を始めとする役に立たない単語覚えを止めるべきではないか。英語の読解力をつけるには英語の本をたくさん読むことに尽きる。幸いレベル別に分けられた薄い英語の本が多くの出版社から発行されているので、1頁に2~3個分からない語が出てくる自分の興味に合った本を、辞書を引かずに読むことだ。語学は基本的に独学なので、幅広く興味を持つ好奇心旺盛な受験生が英語を得意科目とする可能性は高い。

C 問題ごとの講評

第1問A平易。一読で答えられる問題である。本文ではなく、まず問を読むことから始めよう
第1問B平易。問題は大体において初めのパラグラフから順に出されるので、問に沿って本文を読んでゆけば良い
第2問A平易。問1、問2は”Special Features”を、後の問いの答えは”Advantages”, “Customers’ Comments”の本文を読めばよい。問3の正解を答えるには”The app’s basic features are easy to use, but I wouldn’t pay for the optional advanced ones.”を読み解かなくてはならないが、難しいだろうか。
第2問B平易。問1,問2は“Commuting Challenge”、問3, 4, 5 は“Feedback from participants”から解答が得られる。問2のfactについて迷う受験生はいないと思うがどうだろうか。”A total of 300 students participated. . . .Only 15 first-years participated.”から”fewer than 10% of the participants were first-years”は簡単に導き出せるだろう。
第3問A極めて平易。問1は第1パラグラフから簡単に分かるし、問2は本文を読まなくても正解が類推できる。(確かめるために一応読むけれども)
第3問BSherlock Holmesを持ち出して受験生の興味を引こうという工夫がみられる問題。しかし、焦らず落ち着いて本文を読んでゆけば、間違えない問題。
第4問標準。効果的な学習方法を題材にした英文を生徒に読み解かせる良問。ここら辺りから集中力が必要かもしれない。問4の正答率はやや低いだろう、Cheng Leeの文章から“experiential learning”との概念を引き出すのは難しいと思えるからだが、他の選択肢を消してゆけば、残るのは“experiential learning”である。
第5問標準だが量の割に読みやすく解きやすい。他の人との意思疎通の問題を卓球というスポーツを通して考えさせ、本文から必要な情報を(つまり正解を)答えさせる問題。①はまず選べるだろう。また“Patrick looked thoughtful. “That sounds like the kind of skill we use when we communicate, “ he said.を思い出せれば⑤を選ぶのも難しくない。
第6問A標準。量が多くなっており、焦ると読み間違いを起こしやすい。しかし問に従って本文を読み進めば間違いを少なくできるだろう。解答番号40に当てはまる選択肢は、その下に記されたGuinness World Records を参考にして、それより前のパラグラフ、即ち第2パラグラフに答えがあると考えて読めば “approximately one third of adults maintain this behavior” が目に留まるので、選択肢④を選べる。
第6問B難。この難しさは、”tardigrade”という殆どの受験生には初耳の微生物についての記述を読み解かなくてはならない所にある。時間をかけて読めば解けるのだろうが、時間との競争の中で正確な情報を見つけなくてはならない。これも短時間で正確な情報処理の能力を求める出題者の意図であろう。問がパラグラフに沿って出されておらず(問1)、また複数のパラグラフから正確な情報を見つけることで一つの問いに対する答を出さなくてはならない(問2)。消化器官に関する記述(問3)、本文全体に対する理解力(問4,5)も必要である。しかし私なら授業はこの第6問Bからスタートしたい。最初に一番困難な問題に挑むことで後の問題の平易さを実感してほしいからである。簡単な問題をいくら解いても読解力は伸びない。背伸びして難しい問題に挑むことで英語の力を身につけてほしいと願うからである。

英語リスニング

A 試験問題構成、配点

試験時間30分、配点100点、大問6、小問37、各問題への配点の構成、全て変化なし。平均点は62.35(前年度第1日程の平均点は59.45、前々年度は56.16)。第4問以降第6問までの出題の意図は「問題文と図表を読む時間」「状況と条件を読む時間」「状況、ワークシート、問い、及び図表を読む時間」「次の図から読み取れる情報」「状況と問いを読む時間」「状況と問いを読む時間」の文言が示すように、英語での情報処理能力を見ることにある。「情報」を共通テストに含むのと同じ意図である。

B 文理の対策

「話せる英語は聞ける」が基本のコンセプトである。リスニングのスクリプトを音読する、共通テスト第1問、2問にある短くて簡単な内容のものはスクリプトを見ることなしに暗唱する、ディクテーションをする等、すべて声に出すことによって聞く能力を高める。

C 問題ごとの講評

平均点が昨年と比べて2点上がったのは、第5問、第6問の出題内容が簡単になったからであろう。それとは反対に、第4問Aの図表の理解は手間取ると思われる。それぞれ12秒、18秒の時間が与えられているが、後者の理解には時間が足りなかっただろう。

第1問A、B共に平易。2回読まれるので落ち着いて確実に正解を答えよう。
第2問問9の正答率は低いだろう。”Plastic bottles, ~ paper cups~” で視線を上げられた受験生は “No, that one is for glass.” のthat をゴミ箱ではなくて、ビンと理解してしまうからである。出題者の悪意を感じる問題。また問10の”50% off” は直接の解答が示されていないが、2回読まれるので正解を得られるだろう。
第3問第1問、2問と比べれば難易度が上がっているが、標準的な問題。但し、1回しか読まれないので、聞き逃しには要注意である。
第4問A問い18~21。昨年の並べ替え問題と異なり、与えられた12秒の内で図表を理解しなければならないので、ゆっくり考える受験生には大変だろう。また、2011年と 2021年は数字が似通っており、濃淡での棒グラフの区別はしにくかったのではないか。出題者に工夫願いたい。
問22~25。18秒の間でこの表の意味を理解するのは難しい。英語のリスニングより情報を読み取る能力に重点を置いた不親切な問題ではないか。
第4問B昨年度と変わらぬ形式の問題。3つの条件に全て合うのを4つの選択肢から選ぶのだが、逆に1つ合わないのを聞き取ればよいので、さほど難しくはないだろう。
第5問過去2年間の第5問に比べ聞きやすく、大まかな聞き取りで問32も33も正解を選べるだろう。あえて言えば、1回しか読まれないので、問27の選択に困ったかもしれない。
第6問A問34。昨年度までの話者の“main point” を尋ねる問題の異同。
問35。母親の意見を最後まで聞いていないと正解が得られないが、1回の会話内で正解できるだろう。
第6問B問36。今年は人数ではなく人物名を尋ねる問題に変わったが、それぞれの意見を聞き取る昨年の問題と実際は同じ。
問37。Lisaの”The rent is too expensive.” を聞き取れば平易。

国語

第1問(評論)分析

 試行調査以降定番になっている二種類のテキストを読み解いていく形式である。

 両文章ともに「ル・コルビュジエにおける建築のあり方」と「それが人間にもたらす効果」について論じられたもので共通点も多い。馴染みの薄いジャンルかもしれないが、文章一つ辺りの文量が少ないこともあり構成はシンプルで決して分かりづらいものではない。

 設問については、問5までの問題は傍線部の前後のまとまりを読むことで答えられるものである。紛らわしい選択肢は少なく、文章中のキーワードを比較的改変せずに用いているので難易度としてはそれほど高くはない。

 なお、問2は随筆的傾向の強い問題であり、選択肢を絞るのが難しかったかもしれない。

 問6については(ⅰ)が両文章内の引用文を比較することで答えを導くものである。(ⅱ)と(ⅲ)はそれぞれ文章Ⅰと文章Ⅱの趣旨を問うものであり、問2〜5で苦戦した受験生にとっては難しいものだったかもしれない。

 確かに文章や設問が見慣れないものが多いかもしれない。しかし全体を踏まえて答える問題は最後の2問のみである。また1つ辺りの文量が少ないために、突っ込んだ問題は皆無である。落ち着いて解けば必ずできる問題だという意識で臨んでほしい。

第2問(小説)分析

 問題の形式については大きな変更は無い。ただし傍線部について問う問題が2問増えた。また内容についてであるが、傍線部について問う問題(問1〜6)に関しては全てが主人公の言動や状況に関する部分であった。傍線部までの経緯を踏まえて正しい選択肢を求めていくものであり、オーソドックスなものである。

 一方で、昨年度によく見られた文章内の表現とその効果について問われている問題が少なかったことも特徴として挙げられる。唯一の例が問7であるが、表現が「焼けビル」と「飢え」についての考察であり比較的イメージのつきやすいものであった(ちなみに昨年度の問題の例として一つ挙げておくと「案山子」と「雀」であり、今年度に比べてイメージのつきにくいものであった)。

 全体として取っつきやすい問題であるという印象を持つだろうが、一方で文章量も大幅に増え、また正誤判断において紛らわしい選択肢も多く苦戦した受験生も多かったと予想できる。

 ただ事実関係からあっさりと消去できる選択肢も多いので、こうしたミスは是非とも防ぎたいところである。限られた時間の中で、恣意的な読みや安直な読みをしていないか気を付けて問題を解いていこう。

第3問(古文)分析

 昨年は日記文学と、それを典拠とした歴史物語の2つの文章を読み解くものであった。後者を踏まえて前者を読むという多少高度な読解力を求められていたが、今年は文章1つのみであり内容もシンプルなものだった。また難解な語句も少なかったといえる。

 設問構成については大きく変更は無かったが、直接和歌を問う問題が出てきたのが特徴的である。また、全体として選択肢を絞るのが難しい設問が多かったと言える。例えば問1についてはアが重要語句だけでなく文脈を踏まえて答えるものであった。またイやウは細かい知識や現代語の知見が求められる。

 問5の(ⅱ)については和歌の知識に加えて、前後の文脈を踏まえている必要があるため難易度が高い。

 また、昨年程ではないが古典常識の有無が読解に関わってくると言える。当時の寝殿造の構造について知見が無く、現代人の常識に囚われていると読解に時間がかかるかもしれない。

 昨年にも言えることだが、文法や単語を暗記するだけでは読解が難しい問題が続いている。単に受験科目としてではなく、教養として立体的に古典作品を読む素養を育てていく必要があるのではないか。例えば普段の学校の学習において、重要単語の確認だけではなく、脚注なども踏まえて当時の生活や慣習、恋愛事情などに注目しているだろうか。

 文法や単語を一通り学んだあとは、『はじめての王朝文化辞典』(川村裕子、角川ソフィア文庫)などの手引書を読むことで、古典を楽しむことも求められるのではないだろうか。

第4問(漢文)分析

 文章については従来に無い形式のものとなっているが、構成としては分かりやすく特段読みにくいものではない。ただし傍線部を中心に意味を理解の難しい部分もあったと考えられる。ただし、それでも教科書内の知識(傍線部Bの豈、以、傍線部Cの与)や、古文の知識を応用する(傍線部Aの用、波線部アの由)ことで理解は可能であると思われる。

 また文章内では「者」を主格の助詞として用いている場面があり、大きな誤解をしてしまった受験生も多いのではないだろうか。この用法自体は特段珍しいケースではないが、授業で指摘されることが少ない。普段の学校の授業でよく散見される漢字は、指摘の有無に関わらず読みと用法まで理解しよう。学校の副教材(『新明説漢文』の用字篇など)を適宜参考にすると良い。

 設問については、全て従来どおりの問題で構成されており紛らわしい選択肢も皆無である。

 普段の学校における学習で理解可能なものばかりなので、普段から適切な学習を行ってほしい。

日本史

 政治史や外交史を中心にバランスよく様々な分野から出題されている。問題の形式としては例年通り史料問題が少なからず出題されている。負担が大きいかもしれないが、解答番号6や19のように史料やリード文を総合的に踏まえれば解答できるものもあるので、確実に正答しておきたいところ。

 単なる用語の暗記では対応することができず、全体として解答が絞りにくい問題が目立った。
解答番号4イや17イの空欄問題のように、出来事の時期が特定できなければ答えられない問題が少なくなかった。また解答番号14や20についてはそれぞれ「撰銭令」や「海舶互市新例」の内容の中身をしっかり理解していなければ正答は導き出しづらいかもしれない(ちなみに14と20はともに史料問題でもある)。

 単なる暗記に終始せず①時代の流れや②事件や法令、人物についての中身や歴史的意義を把握しておく必要がある。

 ただしこの傾向自体はセンター試験から続いているものであって大きく逸脱するものではない。センター試験も含めて過去問10年分を必ず解答し、出来なかった時代や分野を教科書や参考書を用いて復習しておこう。

化学

● 第1問

例年通りの小問集合。いずれも基本問題レベルのものばかりであったため、あまり時間をかけずに完答を目指したい。

● 第2問

反応速度・化学平衡を中心に、電池と熱化学方程式が出題された。これも第1問ほどではないがあまり複雑ではない問題が多かった。グラフを利用する問題も出題されているが、与えられているグラフも頻繁に目にするものであったため、混乱することなく解けた受験生も多いと思われる。

● 第3問

無機化学から典型元素を中心に出題された。少し印象的だった問題が問3のb。有機化学の分野で学んだ元素分析機と同じ仕組みを用いてMgO、Mg(OH)2、MgCO3の混合物の存在比を求める問題であったが、この装置自体が無機ではあまり見掛けない装置ではあるため、そこで戸惑った受験生もいることだろう。仕組みがわかってからもその後の計算が難しくはないが少し入り組んだものとなっている。

● 第4問

有機化学から脂肪族化合物を中心に出題された。芳香族化合物・高分子化合物は簡単な知識問題だけの出題だったこともあり難易度としてはあまり高くない。

● 第5問

無機化学、化学平衡、酸化還元滴定などの複合問題。複合問題ではあるが、小問ごとに単元が分かれているので、冷静にどの分野の問題かの判断ができれば十分対応できる。問3がSO2による光の吸収を利用した濃度測定という教科書には載っていないような内容となっている。加えて方眼が与えられていて自力でグラフを作成して判断するという要素もあり、やや地力が試される問題となっている。