国語は昨年の共通テスト第1回目は従来のセンター試験とほぼ同じ問題形式が出題されていました。浪人生への配慮やコロナの影響もあったと思われます。しかしながら、今回は共通テストが始まる前、平成29・30年度にそれぞれ行われた試行調査のような問題が幅広く出題されるようになりました。特に第1問、第3問が大きく変わることになりました。当校舎では、このような新形式が出題される想定で多種多様な読解問題に挑戦してもらっていました。しっかり対策していないと厳しいものがあったものと思われます。古文は、センター試験から今まで出たことのなかったジャンルだったということや、同じ内容を別視点から見比べる問題が出たので非常に難しかったと思います。漢文は、漢詩のルールや句法を覚えている人にとっては易し目だったのが救いでした。ただし、2年連続「易」なので来年は警戒が必要。
英語は共通テストより、リーディングには発音や文法を単体で入れないと断言されていたためガラっと変わった昨年の問題からは大きな変更がなかったということが一般的な感想ではないでしょうか?もちろん、細かく論じていきますと出題の仕方などいろいろと変わっていることもありますが…。文理の事前予想が当たったともいえますが、世間一般の事前予想に反して英語は平均点が高くなりました。皆さんもご存じのように、高校3年生の多くがいろいろな予備校や出版社が実施する模擬試験を受験しますが、それらの模擬試験では試行テストで示されていたような問題をベースでそれをさらに難化させる問題が作成され、従来のセンター試験よりも平均点が低くなると予想されていました。文理のスタッフも意識してましたが毎年本試験のあと、数週間後に行われる追試は翌年の本試に繋がるものが多いのでマークしていました。英語の昨年の追試は、なかなか難しかったので題材として使って対策していましたので大きな混乱はなく、よくみんなできていました。
社会については公民では「ビックマック指数(現代文の授業で話していた)」など、最近話題になっている経済情勢等に日頃からアンテナを張っていることが大切。時事問題もかなり多く出るため、教科書だけで学習を終わらせてはならない。2022年4月の民法改正による成年年齢の引き下げや女性の労働に関連し、男女雇用機会均等法の改正内容などかなり細かいところまで問われた。他にも2021年に開催されたパラリンピックでも注目されたからであろうか、障害者も参加できるスポーツなどタイムリーな問題も多くあった。歴史については、単一知識ではなく、「組み合わせとして最も適当なもの」を選ばせる設問が過去最大級に出題され、平均点が大幅に下がったのもこれが一因であろうと推測できる。昨年よりさらに読解の力も問われ、地歴公民ともに本文やリード文をしっかりと読めば解けた問題も数多くあった。
文系全体では特に知識だけを問う問題が過去最低の数であり、複数の知識+その場での判断が必要であった。いわゆる詰め込み学習では到底太刀打ちできず、従来のセンター試験のような基礎を問う問題という概念は打ち破られた。(センター試験は6割、共通テストは5割が全体平均になるように作られるのが最終目標なので)平均点1割減となると、かなり難しく感じただろう。また、探求活動と言って調べたものを発表するための題材やポスターを活用した問題が文系全体に出てくるようになった。(来年はさらに共通テスト化が顕著になるであろう。)しかし、その資料や本文前のリード文、注を見ることでヒントを自ら探すことができる生徒はむしろ解きやすかったのではないだろうか?
数学Ⅰ・数学Aの第1問〔2〕では測量をテーマにした問題が出題されました。会話文を含む問題文と実生活を関連させた問題で、共通テストらしい問題といえます。単元としては三角比ということになりますが、測量と三角比は切り離すことのできない関係です。ですから、測量がテーマになることは十分に予想されましたし、多くの受験生が測量の問題を練習してきたと思います。ただし、今回の共通テストではひとひねりされていて、水平方向と鉛直方向の縮尺が異なるという設定になっていました。その設定を見た直後は動揺したかもしれませんが、落ち着いて考えれば完答できる問題だったと思います。
ところで、三角比は紀元前2世紀に古代ギリシアのヒッパルコスがまとめたのが始まりと言われています。ヒッパルコスは三角比を利用して月までの距離を測ったり、地球の半径を測ったりしました。数学の中でもかなり長い歴史を持っている三角比ですが、その長い歴史の中で多くの性質が発見されてきました。例えば、現在の高校で学ぶ余弦定理は正確には第2余弦定理といいます。ということは第1余弦定理が存在するのですが、今は学習していません。さらには三角比も3つではなく6つ存在していて、それらに相互関係があります。こうした歴史的に三角比がどのように利用されてきたかや、高校では学ばない三角比の性質などは来年以降の共通テストで取り上げられる可能性は十分にあります。今の高1、高2あるいは中学生のみなさんが共通テストで高得点を狙うにはそういった面からも数学を学んでいく必要があるように感じました。
物理・物理基礎 物理基礎第3問
劇の公演を題材とした対話形式の問題。内容はシンプルな比熱・比重・電気抵抗の問題であるが、1つの問題の中で熱・力学・電磁気学の3単元に渡る内容を扱っているので、問題の難易度以上に混乱した受験生も多いと思います。
この問題は「現実に起こりうる問題を解決する」という、今まで勉強してきた『学問』を実際に『利用』するような問題です。このような傾向の問題は「答えが出せれば良い」だけでなく、「その答えが何を意味するのか」、「その結果から何が読み取れるのか」を伴います。これらは科学において非常に重要視される点で、「思考力」が問われるため今後も対策が必要となる形式と言えると思います。
生物基礎 生物基礎第2問にて出題された血中酸素濃度の問題。
大枠としては酸素解離曲線(図3)を用いた血液中の酸素濃度を計算したり、ヘモグロビンの解離した割合を求めたりする、普段からよく目にする問題です。しかし、それに加えて「ヘモグロビンの光の吸収率」を利用した『光学式血中酸素飽和度計』という、通常生物基礎では取り扱わない装置・グラフが登場しました。このような「通常学校の授業などでは取り扱われない内容・グラフなどを交えた出題」というのは、共通テストに変わってから増えたと言えますが、多くの現役生(特に文系の生徒)はこのような形式の問題を苦手としています。
しかし、このような問題は「知らないもの」が登場する分、内容自体は簡単なものになりやすく、そしてその「知らないもの」については必ず定義が書かれています。そのため、落ち着いてその定義を読むことができれば、一気にサービス問題へと変わります。
このような「グラフの意味を考え、そこから何を読み取るのか」という問題は、理科全般において非常に重要な視点ですので、今後もこのような問題は多く出題されると考えられます。
今後の傾向として試行調査の問題例ように大きく傾向が変わった場合、受験生や教育現場に与える影響が大きいため今回も一気に出題傾向が変わるのではなく、2024年の大学入試改革完全実施に向けて徐々に変わっていく旨が告知されていたことは、2021年も受験生に対して日々指導してきました。今後さらに共通テスト要素が色濃くなりますが、同時にセンター試験で良かったところは残すというような取捨選択も行われるということも令和2年1月、令和2年6月に大学入試センターが『令和3年度大学入学選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針』で発表していましたし、今回もまさしくその通りになりました。2022年に行われました第2回共通テストはセンター試験時代からも含め平均点は過去最低です。コロナだからと言って共通テストは待ってくれません。新学習指導要領に向けて、確実に移行されはじめるという悲しい事実も証明されました。多くの人にとっては盲点ですが平均点の操作は文系については選択肢を複雑さに比例しています。このことはぜひ肝に銘じてください。ライバルに勝てる一番大きなカギの一つだと思ってください。
PS番外編…
文理の講師陣による各科目への感想は以下のとおりです。
共通テスト2年目の英語であるが昨年と難易度は変わらず、情報処理能力が問われている問題が多かった。これから勉強する受験生は、すべてに目を通すことから慣れ、しかしながら設問が要求している選択肢を選べるように訓練してほしい。長文の形式と設問の意図しているものを中心に瞬時に探さなければならないTOEICや英検にも通じるものがある。昨年も多かったが、今回はすべてにイラスト、ポスター、チラシ、告知などヴィジュアルが含まれていたことやレポート、ブログ、雑誌、伝記、評論のような多岐に渡ってジャンルが取り入れていたため読み方もそれぞれ対策する必要がある。第2問のA・Bでは個人的意見と事実を区別する問題は昨年4問あったが、今年は2問に減った。昨年あったような紛らわしい選択肢はあまり見受けられなかったという一方、昨年すべての事実(fact)と意見(opinion)を問う問題には、共通テストの試行調査同様すべてに下線が引いてあったが、今年は第2問Bの問5の意見(opinion)を問う問題には下線が引いておらず、設問が紛らわしかったかもしれない。今回の第4問の問3では共通テストの試行調査で出題されていたような、二人の発表を読み両者の共通項を選ぶ問題が出題されました。今後は平成30年度試行テスト第4問にもあったような、両者とも述べていないことを問う問題が出題されることも十分あると思います。共通テストは本文の空所補充は基本的にありませんが、実は設問に関してはほぼ空所補充です。何を埋めるかということを考える前に、書いてある英語から何に留意して問題を解けばよいのかを考えることも大切です。当校の授業では圧倒的情報による多岐に渡った問題を質と量の両者で取り組んでいます。それぞれの形式やジャンルにそれぞれの解決策がありますので、小手先ではない本物の英語力を磨いていってください。
特筆に値すべき事柄として、高校の授業ではこんな風に教えてください~という方針を示す学習指導要領には「言語や文化に対する理解を深め…」、「自分の考えなどを表現したりする実践的コミュニケーションを養う」とあり、まさに今回こういった方針で出題がなされ、異文化理解と発表がセンター試験要素よりも色濃くなりました。例えば、第6問Bです。日本でも使われているプラスチックのリサイクル表示の問題ですが、よく見ると日本とは異なりさらに細分化されています。実はプラスチックと言えども、海外では耐熱温度、用途、目的、人間に対する害の有無等によって分類がなされており、それぞれどんな特徴があるのかを文章から判断しなければならないという難しい問題でした。ここでもわかることですが英語を「分析力✕環境ジャンル」で理解するように、多岐に渡って受験生の能力を試していますね。次に第3問Aにも注目してみてください。日本文化が海外でどのような感じで知られているかという問題で、抹茶アイス、たこ焼き、焼き鳥、おにぎりや体験型の流しそうめん、太鼓、琴などが出ていますね。一見、さきほどの問題と同じように異文化理解がテーマになってはいますが、よく考えると対照的であることに気付きますか?冒頭を読むとイギリス人が書いたブログを日本人が読んでいます。異文化理解を深く考えていくと、日本から海外という一方通行ではなく逆に日本が海外にどう伝わっていくかということを両通行で再認識する必要があるんですね。非常に興味深かったです。日本の文化や言語を伝えたいということで、海外に行く外国人教師も増えているのでそういう背景もあったかもしれません。また、書き手をイギリス人にすることによって、(共通テストから始まるアメリカ英語以外の英語も出題されるとアナウンスされていた)本文では通例アメリカではlearnの過去形learnedがイギリス英語のlearntで表記されていることにも注目してください。当校の授業でも時々出てくるイギリス英語とアメリカ英語のスペルの違いについてたびたび授業をしてきました。
これらの問題以外でも今回から表、イラスト、広告、ノート、ポスターなどすべての問題がヴィジュアルを入れるというところにも注目してもらいたいです。それを難しいとみなすのではなく、時間が限られている中でいかにそれらをヒントとして使うという逆転的発想も必要です。
A 感想
「情報処理能力テスト英語版」。昨年から始まった英語共通テストの、それまでのセンター試験との大きな違いは、これである。「状況と条件」、「状況と図表」の文言が指示文にあるように、「素早く情報を聞きとって答えに当てはめてゆく」、リスニング、リーディングを貫くコンセプトが今年も維持されている。少なくともこのコンセプトは来年も変わらないだろう。文部科学省、産業界からの要請に従う英語での情報処理能力、「速読即解」、じっくり考える力は要求されていない。
B 文理の授業のこと
昨年も同じ内容を書いたのだが、文理でのリスニングの授業は、前述の情報処理能力英語版」を楽々超えるものであると自負している。その根拠は簡単で、”Quantity Makes Quality”を変えないからである。当たり前だが、語学の力を養うには「たくさん聞いて話して読んで書く」ことだ。そして「聞く力」を養うには、話す力の大切さを意識すること。言い換えれば、話せる英語は聞き取れることを実感していることだ。10秒間で、たとえば誕生日の贈り物に、“Nothing’s nicer than this present.”を5回繰り返すことで唇に筋肉の動きを記憶させてゆくこと。そのためには日本語では「ア」は、唇をタテに開ける一つしかないが、英語では[ə、æ、ʌ、ɑ]の四つあること、その発音は文字と関係していること(bird, cat, cut, park)を理解しており、日常の英語の中でよどみなく使い分けられるようになること。発音への意識の向上はリスニングの能力を高める。また、文法事項の確認や、何度もやり方を変えて声を出して読むこと(音読)も大切だ。古びた言い方をすれば、語学は「習うより慣れろ」であり、この意味で繰り返し練習するスポーツの練習と同じである。
C 出題分析傾向
A感想でも述べたが、情報処理能力テストの傾向は今年も変わらないし、少なくとも来年も同じであろう。難易度も昨年と変わらないようだが、今年の方が少し楽なのではないか。。今年のリスニング平均点は、中間集計で、60.56だが、第1~3問まで(満点なら59点)は取りこぼしのないようにしたい。また第4~6問まででも確実に取れる問題もあるので、これも取っておきたい。そうすれば、平均点をかなり上回る点数が取れる。
D 問題ごとの講評
第1問A | 問1:There weren’t very many people on the bus. . . “weren’t”が弱く速かったため、聞き取りにくかったかもしれない。 問2~4:基礎のリスニング問題である。選択肢」②の“hardly ever”「めったに~しない」の意味 |
第1問B | 問5: So, nothing’s left. 問6: It’s under the tree. 問7: There’s no belt, and it’s longer. いずれも容易なので。確実に取りたい。 |
第2問 | 聞き取るべき個所は 問8: In the basket on the bottom shelf. . . . No, the other one. 問9: I’d like the fried noodle set. . . . It comes with two side dishes. 問10: No, look at the square symbol. It’s crossed out. . . . Well, this symbol shows that you can. 問11: I’ d rather not sit near the exit. But not too near the screen, either. Isn’t the sound better at the back? Do you think so? Let’s sit there, then. 容易。 |
第3問 | 問12: 自動詞last(続く)の意味が理解できたか。問17にも同じ意味で過去形lastedが使われている。 問13: March 2nd . . . . How about the next day? 問14: I want to buy one just like that for my mother. . . .Can I go with you? / Of course. 問15: That museum displays work from Asia, not from American. 問16: Yes. But is that your student number? / Uh-oh, I entered too zeroes instead of one. 問17: but the concert only lasted an hour. 容易。 |
第4問A | 問18~21: As the hall clock struck nine, there was a oud knock at the door. . . . there was my favorite uncle with his arms full of gifts. . . . he helped us decorate an Christmas tree. 容易 |
第4問A | 問22~25: 何と何を分類するか、を聞き取ることが決め手。始めは男女を問わず夏と冬(Box1と2)、次いで子供用(Box3)、それからshoes, bagsを除いたitems(Box5)。問題は英語の難易度ではなく、聞き取った情報を短い時間の中で分類しなければ点数が取れないことだ。「情報処理能力テスト英語版」と呼ぶ由縁。 |
第4問B | 「250頁、1年以内、フィクションかノンフィクション」を基に分類。平易。 |
第5問 | 問27~33: gig work, digital platformsの内容を理解できるかどうかがカギ。gig workはアルバイトのことで、これは聞いているうちに理解できるのではないか。しかしdigital platforms は分からないだろう。明確な定義はインターネットにも出ていない。けれどもgig workが第1段落からアルバイトのことだと分かれば27は初めのtemporary workで解答できる。そしてgig workのbenefit, そのexpansionも「アルバイト」の持つ性質からして28~31、そして32の答えが類推できるだろう。私は音声を聞く前に問題を試してみたが間違いがなかった。ある程度社会状況に関心を持っていれば、その範囲の知識で音声を聞かなくても正解が得られる感触をもった。問33は音声を必要としなかった。問題は時間である。図表を読み解く時間が必要なので、英語を聞き取る力は要らない問題。 |
第6問A | 問34は平易。 問35はJuliaが繰り返す”recipe”が“clear directions”だと気が付けば④を選べる |
第6問B | 問36で話される英語自体は難しいものではないから、発言者が誰なのかを聞き分けることがポイントだろう。1回という限られた回数が問題なので、これも聞き取る力の、つまりリスニングの問題の出し方が適切なのかと疑わせる。問37は本文中のred coralからのエコツーリズムを巡るやり取り、また環境問題への関心を基にして、②を選ぶのはそれほど難しくないだろう。 |
共通テスト国語についての、大前提として… 共通一次→センター試験に変わるときと異なり、センター試験→共通テストの過渡期では浪人生が戸惑うため(の措置であろう)、第1回共通テスト(令和3年度:2021年1月実施)は全体的にほぼセンター試験タイプの問題が出題され、細かい修正点はあれど、全体的には大きな変化が見られなかった。センター試験7:共通テスト3程度の配合だった。文理でもほぼセンター試験と変わらないと予想をしていたので、センタータイプを中心に共通テスト対策を行った。今年は、そうはいかず共通テストへの割合7~8ほどとほぼ逆転するであろうと予測し、試行調査の平成29、30年度タイプの共通テスト対策を主眼とし、多種多様なジャンルの問題に取り組んできた。そのため戸惑いなく、生徒自身が満足できる点数を取ってきた。
文章構成で大きく変わったのは、大問1の論理的文章を複数テクストで用いて読解するものと、第3問の古文である。こちらは昨年までのセンター試験タイプとは異なり、共通テストの試行調査に近い文章配置であった。(平成30年度の試行調査の大問1【参照問題はこちら】の複数テクスト参照。)
この章では現代文を見ていこう。大問1の問1は漢字の問題であるが、昨年の共通テスト同様選択肢の数は4つであったが(ⅰ)は本文中の傍線に相当する漢字を選ぶ問題であった。(ⅱ)は傍線とは異なる意味を持つ漢字を選ぶ問題が初めて出題された。(2021年1月実施の共通テスト国語大問1の問1【参照問題はこちら】と今回の共通テスト大問1のⅱ【参照問題はこちら】を比較。)また、大問2の小説では、センター試験時代から長らく出題されていた単語の意味を問う問題がなくなった。(2021年1月実施の共通テスト国語大問2の問1と比較。【参照問題はこちら】)この2箇所や後述する古文からも言えることですが「詰め込み学習」がほぼ役に立たなくなったということです。小手先の「とりあえず丸暗記」に頼るのではなく、意味や語源、役割を理解しなければ、ならなくなったように思えます。単語の意味は問うのをやめたわけではなく、ほかに指示語に注目し(気づくための授業を文理では行っています。)さらにそれが読解問題の選択肢内でこっそり言い換えを入れている選択肢を入れる問題もいくつかありました。今年の大問1の問3の選択肢の解答②は最たる例だと思います。(2022年1月共通テスト国語の大問1の問3②【参照問題はこちら】)傍線部Aと異なり、Bには直前の指示語「それ」まで傍線が引っ張られていないことに着目してください。実は、「それ」はその前にある「ぞとした」「思ひ」に気付かなければなりません。その「ぞっとした」「思ひ」の言い換えとして、選択肢③の「違和感」という作り方がいかにも共通テストらしいです。(もちろん、傍線中心主義は間違いですが)ここまで傍線を引くと、簡単に理解されてしまうので少しでも平均点が低くなるように共通テスト側も努力している(センター試験は6割、共通テストでは5割が最終的な理想平均になるように作られている…ということも実は大切なことですね。)
ということも覚えておくのも良いかもしれません。それだけではありませんが、この問題のように傍線を伸ばす→指示語が見える→指示内容複数箇所見つけ→言い換えているものを探すという複眼的視点が必要になってきました。また、大問1は論理的文章ではあるが従来と異なり評論だけではなく、随筆や小説に使う力も必要とされる問題であった。みなさんも考えてみてください。(大問1の問3選択肢①より→)「存在理由を『喪失』した自分」のうちの「喪失」。何かを失う…鍵でもよいです。何かを失ったときに友達に探してもらうことを助けてもらうならば、友達に何を伝えればよいでしょうか?鍵の特徴…形、色、大きさ等ですよね?つまり、失ったものとは逆の何を「持っていたのか?」のほうが大事になってきますよね?先ほどの選択肢でもそうです。「存在理由」を前に「持って」いなければならないのです。本文を探すと‥持っていないんですよね。よく小説で出題される選択肢がほかにもいくつかありました。
今回、共通テスト国語をどのようにして平均点を低くするかが注目されていましたが、それは選択肢の正答操作でした。かなり巧妙に作られています。作成者はプロです。簡単には気づかないことが複数個入っていました。共通テストの作成者は2年に一度変わります。選択肢の特徴を見ていると今年から変わっていると予想されていますので来年はもっと巧妙な技を仕掛けてくることは容易に想像できますので2023年に受験を迎える受験生はここが突破口の一つであることを肝に銘じてください。(追加)
古文:知識過多からの脱却、実際の教育現場を反映
古文は『とはずがたり』と『増鏡』からの出題。源氏物語はよく出題されるのに対して、同じ日記、『とはずがたり』がまだ出題されていない・・・。『とはずがたり』は名前の通り、問われていないのに語るという意味に由来しており、後深草院に使えている二条が半生を綴った日記・紀行文学。そろそろ出るか?とも考え文理の授業では、テキストで深く学んだ。共通テストの前身であるセンター試験でも出題されていない。(記憶が正しければ、おそらくそのさらに前の共通一次でも出題はなし。)『とはずがたり』は、内容や構成の特徴上出題は難しいものとみられていた。さらに、『大鏡』、『今鏡』、『水鏡』、『増鏡』といういわゆる「四鏡」と言われる歴史物語の中のうち『増鏡』も共通テストや共通テスト試行調査、センター試験では出題されておらず、1981年の共通テスト一次以来であり、こちらもメジャーとは言えない。しかし平成29年度共通テストの試行調査古文(平成29年度試行調査の大4問が古文。その本文参照)や今回の共通テストで見られたように、複数テキストで出題されるがゆえに、共通テストでは出題を難しくする箇所を補完し合い、出題がされやすくなったと推測できる。ここから言えることは、ただ適当に作品2つを比べるだけではなく、今までになかったジャンルや出典からの出題の可能性があるということである。今回の共通テストは、中身としては同一内容ではあるが、複数のテキストを登場させ視点を変えることにより、共通項だけではなく、他方では気づかなかった箇所を指摘し研究させる問題もあり(今回の共通テスト第3問の本文前にある説明書き、通称リード文参照。昨年よりも長いことが分かる)、複眼で文章を掴むというセンター試験や昨年の共通テストではなかった傾向が散見される。(今回の大問3の古文本文参照)さらに従来の入試では、単語や文法の意味の部分的な知識を問うような、いわゆる「詰め込み学習型」の対処だけでよかった問題が多くあった(センター試験最終年の2020年1月の大問3の問1参照と2021年1月の大問3の問いが同様な問題なので参照)が、今回の共通テストはそこから脱却というメッセージも垣間見える。「本文の中から何が分かるか?」ではなくて、「本文を通して何を考えたのか」という発表を生徒主体で考えさせ、教師はあくまでも補助としての立場であるという理想の教育現場が反映されることになった(今回の大問3の古文第4問の生徒と教師の会話参照)。
★ちなみに…文理の授業では『とはずがたり』をはじめとした共通テストではあまり出題されていない問題が出るとの予想からテキストに入れており、内容だけではなく表現技法を問う問題を生徒自ら考えさせる授業を常に展開してきました。
―――――以降更新
★古文の2つ目の文章は2013年度「東北大学」古文と範囲がほぼ同一。(2013年度東北大学の古文参照)国公立・私立問わず同一・類似問題を出題してもよい「入試過去問題活用宣言」というのが令和3年にも更新されているが、基礎固めをしてから適切な時期に入試の種類に関わらず過去問に触れておくことも時には効果的である。
数学Ⅰ・数学Aの第1問〔2〕では測量をテーマにした問題が出題されました。会話文を含む問題文と実生活を関連させた問題で、共通テストらしい問題といえます。単元としては三角比ということになりますが、測量と三角比は切り離すことのできない関係です。ですから、測量がテーマになることは十分に予想されましたし、多くの受験生が測量の問題を練習してきたと思います。ただし、今回の共通テストではひとひねりされていて、水平方向と鉛直方向の縮尺が異なるという設定になっていました。その設定を見た直後は動揺したかもしれませんが、落ち着いて考えれば完答できる問題だったと思います。
ところで、三角比は紀元前2世紀に古代ギリシアのヒッパルコスがまとめたのが始まりと言われています。ヒッパルコスは三角比を利用して月までの距離を測ったり、地球の半径を測ったりしました。数学の中でもかなり長い歴史を持っている三角比ですが、その長い歴史の中で多くの性質が発見されてきました。例えば、現在の高校で学ぶ余弦定理は正確には第2余弦定理といいます。ということは第1余弦定理が存在するのですが、今は学習していません。さらには三角比も3つではなく6つ存在していて、それらに相互関係があります。こうした歴史的に三角比がどのように利用されてきたかや、高校では学ばない三角比の性質などは来年以降の共通テストで取り上げられる可能性は十分にあります。今の高1、高2あるいは中学生のみなさんが共通テストで高得点を狙うにはそういった面からも数学を学んでいく必要があるように感じました。
形式的な面においては昨年の傾向を踏襲し、「共通テスト試行調査とセンター試験の中間」であった。三角比などに代表される、センター試験とはやや毛色の異なる問題もあったが、似たような問題も多かった。いずれにせよ、「基礎的な数学の学力」と、「それを適切に運用する力」の2面が必要とされることはセンター試験と大きく変わってはいない。
文理スクールでは、M5やM6などの講義を通して、特に1期では基礎的な考え方を確認した。さらに、2期以降のやや発展的な問題や講習を通して実戦的な考え方も確認した。共通テストは論述問題とは違ったやや独特な形式である。そのため、講義を通じ、講師陣によって練られた問題を丁寧に確認していくことで段々と実戦力が身についていくものである。個別指導では共通テストに必要な実戦力は身に付かないが、講義のテキストにおいては的中している問題も多く見られたため、講義を通して良質な問題演習を積んできた受験生にとっては取り組みやすいものであっただろう。
数学①とはやや毛色が異なり、誘導に従って複数の考え方を通して答えを導く問題が多かった。そういった背景もあり、問題設定自体はセンター試験と比べて大幅に変化はないものの、穴埋めとなる部分の答えを導きながら正答まで辿り着くにはやや時間を要するであろう問題が散見された。なお、去年の問題順が踏襲され、第3問に「統計と推測」が配置されていた。
2022年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
---|---|---|---|
1 | [1]図形と方程式 | 30 | 円と接線、なす角 |
[2]指数関数・対数関数 | 対数関数、対数の大小関係 | ||
2 | [1]微分法 | 30 | グラフの概形、微分法の方程式への応用 |
[2]積分法 | 面積 | ||
3 | 確率分布と統計的な推測 | 20 | 二項分布、正規分布による近似、連続型確率変数 |
4 | 数列 | 20 | 日常の事象、漸化式 |
5 | 平面ベクトル | 20 | 内積計算、領域 |
合計 | 100 |
第1問〔1〕では、円と直線を題材として共有点について考察する問題が出題された。「太郎さん」と「花子さん」の2通りの考え方が提示されたが、問題文を丁寧に読み解いていけばやや平易な考え方であり、本番の緊張した状況の中で落ち着いて対処できたか否かがカギとなっただろう。第2問〔2〕も似たような傾向であり、問題文こそは長くて大変そうに見えるかもしれないが、実際に手を動かしてみると平易な問題でありすぐに解答できることがわかる。
第2問はセンター試験時代から変わらず微分法と積分法を中心とした問題であった。ただし、計算量も今までのセンター試験や共通テストと比べて格段多くなったわけではない。しかし指数を始めとした計算がやや複雑であり、本番の緊張状態では選択肢と合わずに戸惑った受験生がいたことは想像に難しくない。M5などの実戦的な講義を通して、時間制限の中で解く練習を積んでいた受験生は有利だったであろう。
第4問は共通テストの試行調査に近いタイプの数列に関する問題であった。何より、ほぼ数式を使わない問題設定の説明文だけに1ページが割かれていたことには驚いた受験生も多かっただろう。ただその分、問題の数学的内容はあまり難しくなく、連立漸化式を解かねばならないものの漸化式自体は非常に解きやすい漸化式であった。
第5問はベクトルの問題で、本年度は平面ベクトルが出題された。前半はベクトルの基本的な性質を問う問題で、落ち着いて解き進めたいところである。最後に太郎さんと花子さんの会話文が出てくるが、これは2人の解答方針両方で解答を求めるものではなく、花子さんの解答方針では計算が大変そうだから太郎さんの解答方針を活用するものであった。これは普段から自分で手を動かして計算をしていく中で「やっぱりこっちの考え方が楽そうだから、こっちでやろう」という考え方が身についてくるものである。基礎的な理解と同時に、実際に手を動かして練習することがより強く求められたといえよう。
数学ⅡBに関しては、「太郎さんと花子さん」の2人の考え方が出てくる問題が多く見られた。ただただ解答を見て理解するのではなく、自分で手を動かして試行錯誤することを繰り返すことが、より一層求められていたといえよう。
【参考】2021年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
---|---|---|---|
1 | [1]三角関数 | 30 | 三角関数の値、三角関数の合成(正弦、余弦)、三角関数の最大値、加法定理 |
[2]指数関数・対数関数 | 相加平均と相乗平均の関係、指数関数の性質、指数方程式 | ||
2 | 微分法・積分法 | 30 | 接線、面積、グラフの選択、関数の最大 |
3 | 確率分布と統計的な推測 | 20 | 平均(期待値)、標準偏差、正規分布による近似、信頼区間 |
4 | 数列 | 20 | 等差数列、等比数列、漸化式 |
5 | 空間ベクトル | 20 | 正五角形、正十二面体、内積計算 |
合計 | 100 |
物理基礎第3問
劇の公演を題材とした対話形式の問題。内容はシンプルな比熱・比重・電気抵抗の問題であるが、1つの問題の中で熱・力学・電磁気学の3単元に渡る内容を扱っているので、問題の難易度以上に混乱した受験生も多いと思います。
この問題は「現実に起こりうる問題を解決する」という、今まで勉強してきた『学問』を実際に『利用』するような問題です。このような傾向の問題は「答えが出せれば良い」だけでなく、「その答えが何を意味するのか」、「その結果から何が読み取れるのか」を伴います。これらは科学において非常に重要視される点で、「思考力」が問われるため今後も対策が必要となる形式と言えると思います。
生物基礎第2問にて出題された血中酸素濃度の問題。
大枠としては酸素解離曲線(図3)を用いた血液中の酸素濃度を計算したり、ヘモグロビンの解離した割合を求めたりする、普段からよく目にする問題です。しかし、それに加えて「ヘモグロビンの光の吸収率」を利用した『光学式血中酸素飽和度計』という、通常生物基礎では取り扱わない装置・グラフが登場しました。このような「通常学校の授業などでは取り扱われない内容・グラフなどを交えた出題」というのは、共通テストに変わってから増えたと言えますが、多くの現役生(特に文系の生徒)はこのような形式の問題を苦手としています。
しかし、このような問題は「知らないもの」が登場する分、内容自体は簡単なものになりやすく、そしてその「知らないもの」については必ず定義が書かれています。そのため、落ち着いてその定義を読むことができれば、一気にサービス問題へと変わります。
このような「グラフの意味を考え、そこから何を読み取るのか」という問題は、理科全般において非常に重要な視点ですので、今後もこのような問題は多く出題されると考えられます。
共通テストの物理においては、昨年度、理科全体で見られた「グラフを用いる思考問題」が本年度の共通テストでは見られなかった。その代わりに今年は、物理現象を定性的に捉えることを求める設問が目立った印象である。 具体的には、穴埋め形式の問題で、選択肢がそれなりの長さの文章になっている問題が散見された。実験の設定をもとに実際に計算をする問題が求められるのは今までと何ら変わらない。センター試験では、数値計算をして答えを求めればそれでよい問題が多いが、本年度の共通テストにおいては、それらの結果を元に、実験の条件を変化させた場合について問う問題が見られた。 第1問はセンター試験と同様、小問集合の形式で物理学の基礎的な知識・計算力を問う問題であった。やや難易度の高い問題もあるが、高い正答率を維持したいところである。 第2問も今までと似通った問題が並んでいた。ただし、注目したいのが問6の問題である。問6の問題は、複雑な数式の変形を求められないため一見簡単そうではある。しかし、選択肢を選ぶ際に、その数式を導いた理由も同時に選ばなくてはならない。本問は特段難しい問題ではないが、来年度以降の受験生は「立式において、その式を明確に説明すること」が一層求められているといえよう。普段から学習する際に注意しなくてはならない。 第3問では電磁誘導を題材に、物理学的な思考が求められた。特筆すべきは問2の問題である。実験を行った際、その現象がどうして起こるのか、実験が理論通りに進まない場合、その原因は何なのかをある程度まとまった文章に近い形で選択させる問題であった。実際に物理学の実験においては欠かせない思考である。この問題も目新しい問題であり、本年度はやや解きやすかったにしても来年度以降の受験生は注意すべき問題であろう。 第4問は原子を題材に、力学や電磁気学、そして前期量子論について扱う問題であった。高校物理における原子の分野は疎かになりがちである。前期量子論を丁寧に学んできた受験生にとっては、内容が手に取るように分かるような出題であったといえよう。この内容については、巻末で詳しく述べることにする。 本年度の共通テスト物理の問題は、昨年の共通テストからは大きく変化し、実験的な思考力が求められるものであった。個別指導で問題を教わるのでは共通テストに必要な実力はつかない。講義を利用して物理のより本質に迫ることが必要と言えよう。
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
---|---|---|---|---|
1 | 小問集合 | 25 | 6 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 30 | 7 | 運動の法則、運動量と力積 |
3 | 電磁気 | 25 | 8 | 電磁誘導、電流と磁場 |
4 | 原子 | 20 | 4 | 原子の構造、エネルギー準位 |
合計 | 100 | 25 |
共通テストの化学については、昨年に似た傾向が踏襲された。グラフから読み取って思考する問題が多く見られた。また、正解を導くために思考・計算で時間を要する問題も散見され、時間内に解き切るためには正確にかつ迅速に計算する力が求められた。
第1問は例年通りの小問集合である。問4でアモルファス合金の製法など、ややハイレベルな知識を求められたため戸惑った受験生もいただろう。 第2問は小問集合に近い形でありながらも問4ではある程度まとまりのある問題が出題された。問4は水素を用いたエネルギー、具体的には水素吸着合金やリン酸型燃料電池など、最先端の研究においてホットな話題が出題された。
第3問では、実験における状況を踏まえた問題が出題された。沈殿生成、塩の水溶液の性質、電気分解など、さまざまな複合的知識を活用して正答を導く必要がある、実験的な思考を求める問題だったといえる。問3については問題文にやや複雑なフローチャートが描かれていたので驚いた受験生もいたかもしれないが、アンモニアソーダ法について理屈を丁寧に理解していれば正答できた問題であろう。
第4問は有機化合物に関する問題であった。注目すべきは問4である。問4においては、還元反応における反応時間と化合物の割合を示すグラフが問題文に掲載された。このグラフを元に、十分な時間が経過したときに反応容器内に残るのが2価のアルコールであることを判断する必要があった。bの問題では、実験結果から分子式を決定する問題であった。実際の実験現場を想定した問題が出題であると言えよう。 第5問は、有機化合物を用いて酸化還元反応についても思考する、いわゆる融合問題であった。問1において炭化水素の構造についての理解が問われた。問2では、酸化還元反応についての理解を問い、その先ではヘスの法則などから反応熱を計算する問題も出題された。問2は問題が長く、最後のdの問題では、複数の実験データを総合的に判断して反応速度を計算し、反応速度係数を求める問題であった。問題文から読み取り、考えなくてはならないことが多くあったため時間内に正答まで辿り着くことは容易でなかったと思われる。
本年度の化学の問題においては、実験操作というより実際の実験の現場で思考せねばならないような事項について問うた問題が見られた。なお、この傾向は物理でも同様であった。高校で学んだ内容を、大学生になって研究を進めていく上でどのように応用するかを問うたと考えられる。このような判断力は、普段から自分で考え、さらに講義でその適切な判断の仕方や多面的な見方を学ぶことによって身につけられるものである。全体としてはやや難化したと考えられるが、ただ理解するだけではなく、文理の講義を受講し、自力で頭を使い普段からハイレベルな思考をする練習をしていた受験生にとっては取り組みやすかったであろう。
化学基礎は第1問においてはセンター試験の時代と同様、基礎知識を問う問題が中心であった。問4では「洗剤」について問われた。化学基礎では、洗剤について詳しく扱わないため、戸惑った受験生もいたと思われる。
第2問はエタノールを題材として物質量などに関する計算をする問題であった。問1から正答となる「誤った選択肢」を選ぶのはやや高度な知識が必要で、化学基礎を受験する受験生にとってはやや戸惑ったかもしれない。しかし、他の3つの選択肢が正しいことから判断できたのではないかと思う。
文理スクールの通期講座「化学基礎」では、特に実戦的な演習を進めた2学期以降において、一部で理系生向け「化学」のセンター試験過去問なども用いて演習を行ってきた。この中で、新たな知識を身につけるのではなく、今持っている知識を使って知らない知識を補う演習も行ってきた。教科書における知識が前提となることは言うまでもないが、同時に学校における指導では実戦力は決して身に付かない。オリジナルテキストを用いた実戦的な演習を積んできた受験生は対応しやすかっただろう。
2022年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
---|---|---|---|---|
1 | 物質の構成、物質の変化 | 30 | 10 | オキソニウムイオン、貴ガス、同位体、洗剤、酸・塩基、中和滴定、酸化防止剤、化学量、電池 |
2 | 物質の構成、物質の変化 | 20 | 5 | エタノールの性質、状態変化、溶液の濃度 |
合計 | 50 | 15 |
2021年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
---|---|---|---|---|
1 | 物質の構成、物質の変化 | 30 | 12 | 物質の分類、化学量、原子の構造、結晶、金属単体、酸化還元、溶液の濃度、電池 |
2 | 物質の変化 | 20 | 5 | イオン交換樹脂、酸・塩基・塩、実験操作、化学量 |
合計 | 50 | 17 |